ポール・ボキューズとMOF

いわずとしれたフランス料理界の重鎮ポール・ボキューズ氏をいち早く日本でポール・ボキューズ氏の手がけるフランス料理を紹介したのは辻静雄さんです。ポール・ボキューズ氏の手がける料理を食べるためにフランス・リヨン近郊になる村、コロンジュ・オ・モン・ドールのポール・ボキューズ氏のレストランへ世界中から美食家たちが訪れています。

ポール・ボキューズ

ポールボキューズ氏は現代フランス料理を築き上げた功労者でもあります。ポール・ボキューズ氏がライフワークとしているのが世界中にフランス料理を広めること。そのため、日本にもポール・ボキューズ氏が手がける『ブラッスリー』をフランス以外に初めて2007年に出店しました。ポール・ボキューズ氏が手がける手ごろな価格で楽しめるブラッスリーはリヨン市内に5軒ありますが、フランスまでいかずに日本でも楽しめるというのが嬉しい限りです。

ポール・ボキューズ略歴

ポール・ボキューズ氏は1926年2月11日にリヨン近郊のローヌ県コロンジュ・オ・モン・ドールの料理人の家系に生まれました。

1942年に16歳でリヨンの「レストラン・ド・ラ・ソワリー」で見習いを始めています。1944年には志願して従軍し、第二次世界大戦後の1946年にリヨンの「ラ・メール・ブラジエ」で修行した後にパリでもキャリアを積みます。そして「ラ・ピラミッド」のフェルナン・ポワンに大きな影響を受けました。

1959年に生家のレストラン「ポール・ボキューズ」を継いで、1961年に国家最優秀職人章(MOF)を取得しています。1965年にミシュランの3つ星を獲得してから、この3つ星を40年以上維持しています。

1970年代に、辻調の辻静雄さんの招きを受けます。そしてトロワグロ兄弟たち来日したときに、「吉兆」や「千花」などの料亭で懐石料理・京料理の料理法や盛りつけに触発されます。そして、和食の素材を活かす料理法を取り入れたり、盛りつける皿を料理ごとや季節ごとに変えたりするなど、地味だったフランス料理の盛りつけを根底から変えて新たなフランス料理の時代を作りあげていき「ヌーヴェル・キュイジーヌ」の旗手とされました。現在は古典への回帰を説いていますが、国際的な知名度とともに現代フランス料理界ではやはり特別な存在になっています。

鱸のパイ包み焼きや、料理人としてはじめてレジオン・ド・ヌール勲章を受勲した際に、ヴァレリー・ジスカール・デスタン大統領に捧げたトリュフのスープはあまりに有名です。私たちに馴染みがある『クレーム・ブリュレ』を今の形にしたのもこれまたポール・ボキューズ氏です。

日本での展開では、かつてボキューズとの提携店として銀座の「レンガ屋」に六本木のアークヒルズ内の「ル・マエストロ・ポール・ボキューズ・トーキョー」が営業していましたが、その後閉店して、2007年からは「ひらまつ」と提携して再びボキューズ・ブランドによる店舗展開を行っています。

日本での弟子は、ボキューズのスー・シェフを務めた後1972年に銀座レンガ屋開店のため来日して、現在は東京ミッドタウンの「キュイジーヌ・フランセーズJJ」のシェフを務めるジョエル・ブリュアンがいます。 また、日本人では「アピシウス」の総料理長の小林定「シェ・ナカ」のオーナ・シェフ中村通武「ラ・ベカス」の渋谷圭紀「レ・クレアシヨン・ド・ナリサワ」の成澤由浩などがレストラン「ポール・ボキューズ」で修行しています。

MOFとは?

ポール・ボキューズ氏が1961年に取得したMOF(国家最優秀職人章)とはどのようなものかというと、日本でいう「人間国宝」にも相当するものです。

フランス文化の最も優れた継承者にふさわしい高度の技術を持つ職人に授与される称号になっていて、とても名誉なものです。この名誉がまさに日本の「人間国宝」に相当するものだといわれる所以でもあります。

MOFの歴史は1913年に、美術評論家でジャーナリストでもあったフランス人 Lucien KLOTZ がフランスの伝統工芸技術を保護して、その発展を図ろうと運動を始めたことにさかのぼります。展示会を定期的に開催して、優れた技術者を表彰することを考えました。

政府、業界の有力者に働きかけましたが、第一次世界大戦が勃発したため一時中断します。戦後に政府の支援を得て活動が再開されて、1924年に第1回手工芸大展示会が開催されました。 現在では、対象となる職種は料理、製菓、パン以外にも、宝飾品、工芸品、ガーデニングなど幅広くなっていてフランス人の Art de Vivre(生活芸術)の精神にふさわしく、その数は約180職種に及んでいます。

しかし一番有名なのは【料理】であり、これまでにもポール・ボキューズ、ジョエル・ロブションといった多数の有名料理人が名を連ねています。日本人でも、1974年に辻静雄が初めて名誉賞を受賞しました。1986年に理容師の吉野泰央が初めて本受賞しています。現在日本人の受賞者はバイオリンの製作に関して笹野光昭、菓子部門賛助会員の美ノ谷靖夫を含めて4名になっています。

M.O.F.のコンクールは、3年に一度開催されていて合格者にはフランス大統領の名で、大統領官邸のエリゼ宮にてM.O.F.のメダルが授与されます。受賞したものだけが、誇りあるトリコロールカラーの襟のコックコートの着用が認められます。

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