おふくろの味

『おふくろの味』という言葉を広めた料理研究家は土井勝さんです。NHKで50年以上にわたって続いている料理番組にもたくさん登場していました。お亡くなりになっていますが今でもとても広い年代に知られている料理家ですね。土井勝さんの柔らかい関西弁のイントネーションと、いつもにこやかにされてそして的確なコツを教えてくださっていました。主婦層を中心にした手軽に作れる家庭料理を数多く紹介してくれて流行語となった「おふくろの味」の生みの親でもあります。

『おふくろの味』は人によって違います。ごく普通に「これっておふくろの味だよね~」と使いますが、まさかその言葉を生み出したのが土井勝さんだったとは!とおどろかれるかもしれません。土井勝さんがひろめた『おふくろの味』は日本にテレビが一般家庭に普及して、「きょうの料理」や「おかずのクッキング」といった全国放送で広く様々な家庭料理が紹介されたことで『おふくろの味』という言葉が広まっていきました。

土井勝さんは『家庭料理』にポイントを置いていた料理家で、家庭で作られる料理法を追求されていました。なかでも15年かかって編み出したといわれるおせち料理の黒豆を簡単に煮上げる方法はとても有名です。亡くなった今でもベストセラーになっている「日本のおかず500選」は土井勝さんの集大成ともいわれるほどで、一家に一冊置いておきたい本です。

土井勝さん

土井勝さんの料理の基本になったのは母親がいる温かいお台所から聞こえる「母の包丁の音」と「海軍生活」がありました。晩年まで土井勝さんは海軍生活のことをあまり公言しませんでしたが、それには「大和」の最後の出撃の直前に退艦を命じられて自分が生き残った負い目と、仲間が持ち場に落ちた爆弾で戦友のほとんどが戦死してしまっていたことがありました。土井さんは帝国海軍一の軍艦「大和」の乗員であった事を終生誇りにしていました。

土井勝さんの料理方法は、海軍の伝統方式に基づいたもので良く知られた野菜のゆで方は「少ない水で野菜を蒸すようにゆでる」という方法は、艦上では水と燃料が少ないための料理法で、実際にとても合理的であり栄養も逃がさないゆで方ですが、土井勝さんの料理方法は見た目が派手なパフォーマンスとかはありません。合理的な調理方法で質実剛健な海軍経理学校の教本をまさに体現したものでした。

そして自分の商売のためにお店を出すこともしませんでしたし、一般家庭ではまず使うことがないような高級食材などを使っての料理などもありませんでした。1995年3月7日に肝臓がんのためにお亡くなりになりますが、日本の戦後の中で家庭での料理を徹底的に追及して研究して尽力された料理研究家です。

土井勝さんの著作本

  • 1966年(昭和41年)・・・『おふくろの味』: 創元社
  • 1971年(昭和46年)・・・『日本料理の基礎』 (NHKきょうの料理): NHK出版
  • 1973年(昭和48年)・・・『土井勝の家庭料理』: お料理社
  • 1974年(昭和49年)・・・『電子レンジでつくる日本料理』: 主婦と生活社
  • 1974年(昭和49年)・・・『日本料理秘訣集―自分の味をつくりだす』: 光文社
  • 1975年(昭和50年)・・・『四季の献立 おもてなしから毎日の献立まで』: お料理社
  • 1976年(昭和51年)・・・『お正月料理』: お料理社
  • 1981年(昭和56年)・・・『四季のつけ物―即席づけから保存づけまで』: 講談社
  • 1983年(昭和58年)・・・『基礎日本料理 新版』: 柴田書店
  • 1983年(昭和58年)・・・『野菜のおかず』: 家の光協会
  • 1984年(昭和59年)・・・『魚のおかず』: 家の光協会
  • 1985年(昭和60年)・・・『新編 かあさんの味づくり―ことわざ・歳時記でおぼえる料理の秘訣読本』共著:土井信子 : 婦人生活社
  • 1985年(昭和60年)・・・『お弁当と常備菜』: 家の光協会
  • 1985年(昭和60年)・・・『味は人なり』 (わが青春譜): 佼成出版社
  • 1985年(昭和60年)・・・『酒の肴250種』: 家の光協会
  • 1985年(昭和60年)・・・『土井勝のおいしい糖尿病食―おいしさを考えた糖尿病の食事療法』: 主婦の友社
  • 1985年(昭和60年)・・・『キッチンと食卓のあいだ』共著:土井信子: 創元社
  • 1986年(昭和61年)・・・『土井勝のおいしい高血圧食―薄味を生かした高血圧の食事療法』: 主婦の友社
  • 1986年(昭和61年)・・・『土井勝のおいしい和食ダイエット―無理なくできる肥満解消の食事療法』: 主婦の友社
  • 1986年(昭和61年)・・・『土井勝のおいしい胃潰瘍食―胃・十二指腸潰瘍、胃炎、胃弱の食事療法』: 主婦の友社
  • 1986年(昭和61年)・・・『土井勝の今夜のおかず・魚料理』: 文化出版局
  • 1986年(昭和61年)・・・『土井勝の今夜のおかず・肉料理』: 文化出版局
  • 1986年(昭和61年)・・・『土井勝のおいしい高脂血症食―コレステロールと中性脂肪の多い人の食事療法』: 主婦の友社
  • 1986年(昭和61年)・・・『土井勝 今夜のおかず』: 創元社
  • 1987年(昭和62年)・・・『わたしの包丁ブレイク』: 文化出版局
  • 1987年(昭和62年)・・・『土井勝のおいしい腎臓病食―腎炎、腎不全、人工透析中の人の食事療法』: 主婦の友社
  • 1987年(昭和62年)・・・『土井勝のおいしい健康回復食―ちょっと具合の悪いときの食事 元気が出る、体にいい食事』: 主婦の友社
  • 1988年(昭和63年)・・・『和風のおかず』: 家の光協会
  • 1991年(平成3年)・・・『土井勝の新しい和風のおかず』: 講談社
  • 1992年(平成4年)・・・『家庭料理の基本とコツ』: 講談社
  • 1992年(平成4年)・・・『おいしい家庭料理のコツ』: 家の光協会
  • 1994年(平成6年)・・・『ほんとうの味 ほんとうの幸せ―語り継ぎたい大切なこと』: 経済界
  • 2010年(平成22年)・・・『基礎日本料理 復刻版』: 柴田書店

現代のおふくろの味

「おふくろの味」といって連想するのは「肉じゃが」や「味噌汁」が代表格として上げられますが、最近では世代間によっても「おふくろの味」は違ってきています。カレーライスやハンバーグをおふくろの味としてあげる人も多くでいます。郷土料理としての意味合いもつよい「おふくろの味」ですが食卓に冷凍食品やインスタント食品そしてレトルト商品といった料理が食材が家庭料理に広く普及しているからです。

最近の飲食店ではあえて昔ながらの料理をだす「おふくろの味のような料理」を提供する飲食店が増えてきています。昔に戻ろうといった食生活は、コンビニ弁当などんも見られています。

おふくろの味ランキングに登場するのは、どれも家庭でごく一般的にでる料理です。日本の食卓は洋食や中華もミックスされているので、おふろくの味に登場する料理が日本のソウルフードなのかもしれません。ごくごく一般的な料理こそしっかり抑えておきたいですね。

おふくろの味ランキング

  • 第1位・・・肉じゃが
  • 第2位・・・煮物
  • 第3位・・・味噌汁
  • 第4位・・・カレーまたはカレーライス
  • 第5位・・・卵焼き
  • 第6位・・・コロッケ
  • 第7位・・・筑前煮
  • 第8位・・・ハンバーグ
  • 第9位・・・きんぴら
  • 第10位・・・餃子
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